2003年の終わりを目前にして、ちょっといいコラムを読んだ。えーい、全文パクってしまえー。

一年分の涙を流そう

山のような新年号の締切に追われていると、書斎のドアが静かに開いた。
目をあげると5歳の長男が、お気に入りのタオルをひきずって歩いてくる。
机の横に立ち、顔をくしゃくしゃにしていった。

 「あのね、なんだか悲しいの」

 ぼろぼろと涙を落としながら抱きついてくる。
熱をもった背中をなでてきいてみた。
どうしたの、理由は。

 「あのね、理由はないの。なんだか、悲しくて、涙がでる」

 胸をつかれて、ぼくはいいました。
大人でも子どもでも、みんなそういうときがあるよ。
わけもなく悲しくなるのは、誰にでもあって、普通のことなんだ。

 みなさんは、今年一年で何回泣きましたか。
その涙にはどんな理由があったり、なかったりしましたか。
心は身体と同じで、いつも動かしてないと、すぐにかちかちに硬くなってしまう。
涙には人の心をストレッチするやわらかな力があるのです。
小説、映画、音楽に限らず、いい作品には、悲嘆や歓喜の絶頂に人を連れていく力づよい翼がある。
今年はどんな作品にふれて、心のストレッチをしましたか。

石田衣良 ~「朝日新聞」夕刊より

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