原体験は侮れん

夜中に外に出ると、マンション近辺が異様に静かでちょいとビビる。
誰もおらんくなった死んだ街みたいで。
まあ正確には、もうみんな眠っとる街なだけなんやけど。
はよ寝れ、俺。

以前のとこはバスも通る準幹線道路やったから、夜中も車の行き交う音が聞こえて。
いまんとこは、通りから1本入ったとこやから、そんな音も届かん。
静かでいいわな、と思いよったけど、あまりに静かすぎる気も。

でも、部屋で耳を澄ますと、ちょっとだけ虫の声が聞こえるのに気付いた。
なんの虫やろ。
どうやら、目の前の資産家さんちの森? 林? から聞こえて来るみたい。
こりゃ、夏にはセミの、秋には虫の大合唱が聞こえてくるでないか?
ほほお、楽しみやわ。

やっぱ田舎生まれの田舎育ちとしては、そういう音で、どこか心安らぐんやろか。
実家じゃ、そろそろ裏の田んぼに水が張られて、蛙の大合唱が始まる頃やろな。
あれはいい子守歌… 歌? やったと思うわ。

人によっちゃ、それが車や電車の音やったり、波の音やったり、はたまた工場の音やったり、木々の音やったり。
どれがいいとかではなくて、心安らぐもんがあるんなら、それがいいやんな。

そう思うと、原体験っちゅうのは侮れんもんや。
生まれてから10代までに見たり聞いたり食べたりして五感で感じたことは、いつまでたっても自分の根っこになって残っとるもんなんやなあと。
まあ、やからといって大人になって融通がきかんくなるのも困るけど。( 自戒 )

でもやっぱね、博多や小倉のじゃダメなんよ。
大分に近いけど一応福岡県っちゅう地元のマイナーなラーメン屋が俺にとっては世界で一番美味いわけで。

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