最後に好きになった女の子

♂×♂の初体験は、23歳の春。
ヤッてしまったら、それまでのモヤモヤもすっきり。
だって女の子とヤるのとは、比較にならんくらい興奮したし気持ちよかったし。
こりゃもう間違いないやろ、と。
そんで、よし!俺はこれで生きて行こー! と。
ヤッたあとはビックリするくらいすんなりと自分を受け入れたわけで。
やから、もう女の子を好きになることもないんやろなあと思った。
それくらい、潔く自分自身に納得した。
なのに、そのあと、好きになった女の子が一人だけおった。
たったひとりだけ。
それは、♂×♂の初体験をした年の冬。
バイトで知り合った、2つぐらい年下の女の子。
時々、長電話するぐらいに、なんだか波長が合って。
しかも、すんごくかわいい。
いま思えば、その10年後ぐらいに付き合った某元カレにちょっと似とったかも。
そのコと大学卒業間際に、クルマでデートに行った。
いろんな話をする中で、実家の話にもなって。
「男の兄弟がいないから、長女の私が、百数十年続く実家の家業を継がないといけない。」
夜遅くまでドライヴして、埼玉の彼女のアパートまで送って行って。
部屋にも上げてくれたけど。
でも、俺はなんも行動を起こせんまま、さよなら。
すんげえ、ギュッとしたかったけど。
でも。
彼女のこと、ホントに幸せにできるんか?
ムコ入りして彼女の実家に入る覚悟はできるんか?
てか、そもそもオレ、♂好きやないんか?
頭の中で答えは出らんやったけど、行動を起こさんやったのが答えなんやろな、と。
その後は、結局、会うこともないまんま。
何年か続いた年賀状も、向こうからは、いつしか送られてこんくなって。
そんな彼女の実家の街に、シルバーウィークに立ち寄ったわけで。
その街へ行くのは、大学生の時にスキーで来て以来、24年ぶりくらい。
事前にググったら、お店のサイトもあって、彼女が女将? 店主? として載っとった。
あの頃と変わらず、かわいいやんか。
苗字は昔のまま。
でも、子供が2人おるらしい。
てことは、やっぱりお婿さんをもろたんやろな。
幸か不幸か、その日は定休日。
朝の静かな空気の中に佇むお店をフロントウィンドウから見ながら、ちょっとだけ考えた。
もし、、、
もしもよ、俺がノ●ケやったら・・・
まあ、お互い気持ちを伝え合ったわけやないし。
彼女が俺に好意を持ってくれとったんかどうかも、いまとなっては分からんし。
とか考えよったら、狭い道の向こうから軽ワゴン車が。
感傷を断ち切って、俺もクルマを動かして、そのクルマとすれ違う。
その時、軽ワゴン車の車体に書かれた、彼女の店の名前がチラッと見えた。
ハッとして、バックミラーでそのクルマの姿を追ったけど。
でも、すぐにお店の前で曲がって、見えんくなってしまった。
誰が乗っとったんやろ。
その場にまたクルマを停めて、逡巡する俺。
・・・・
・・・・
数分後。
ギアをローに入れて、さあ、つぎの街へ出発!

