お互いの幸せ
ここ数年、ことあるごとに親や親戚に言われるのは、「いい人はおらんのか?」。ええ、おりますとも。まあ、男やけど。あは。
もちろん、そんな事は言えるわけもなく、適当なこと言って、スルスル~っと切り抜けるのが、いつものパターン。別に継ぐもんがあるわけやないし、姉貴には子供が2人もおるし、自分が結婚せんでも、なんちゅーて都合の悪いことがあるわけやない。
これで、縁談話なんか持ってくるようなおせっかいな叔母さんとかおったらまた大変なんやけど、幸いにもそんな人はおらん。やから、結婚話を回避するのに苦労したことは、これまでほとんどない。
たまに掛かってくる実家からの電話は、たいていほろ酔いの親父からのことが多い。だいたいいつも「そろそろいい話はないんか?」とは訊かれるけど、適当に流しときゃ、その話題は終わる。なんか、お決まりの挨拶みたいな感じで。
でも、今日はキレた。親父が、ではなく自分が。いつものようにほろ酔いの親父のいつもの質問。適当に流して、さあ次の話題かな・・・と思ったら、今日は珍しく、さらにツッコんできた。「はいはいはい」なんて感じで返しても、親父はしつこく絡んでくる。いったいどーしたん?ってくらいに。
相手は酔っ払っとるんやし・・・と、感情的にならんようにしとったんやけど、「そんな歳になって、いい人のひとりもおらんのんか?」と言われ、つい、冷たい声で「そんな話しかせんのんなら切るよ。もう切るけね。」と言い放ってしまう。いくらいまの自分が幸せだとしても、それを言えない。その悔しさを親にぶつけてもしょうがいなのに。
自分の言葉の変化に親父も気付いたのか、「分かった、分かった。もうその話はやめる。」と言って話題は変わった。その後は、孫 (自分にとっては甥と姪) の話やら、仕事の話やら。あ、仕事辞めた事も、まだ親には言ってないんよな。
親は、いつか息子の結婚を諦めてくれるんやろか。それとも、いつか親にカムアウトする時が来るんやろか。いまんとこは、親に言う気は全くないけど。言わん方が、お互いの幸せのためやと思うから。

